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【レビュー】格安ULテント GeerTopのpyramid II(1万円)はルナーソロの有力対抗馬!?

このところ、SixMoon Dsignsの一連のテントを使ってきた。ルナーソロは北アルプスの3000m級のテント場でも2シーズンにわたり活躍したし、スカイスケープ トレッカーは初期不良を直しながらキャンプに使った。

それはそれとして、超軽量テントとして今シーズン、急浮上してきたのが、このGeerTopのテントだ。900gとルナーソロより一回り重いものの、ペグが添付していたり、通気口が前後に貫通していたり、かなり工夫された跡がある。「まあ1万円余りなら、人柱でもいいか」といった軽い気持ちで注文すると、すぐに届いた。パッキング用の袋は余裕があって好ましい。ペグもポールも同じ袋に入りそうだ。

このセットに加わるのはアルミなら100gちょい、カーボンなら60g程度のポールだけなので、ペグを入れても1キロちょいでテントを携行できることになる。ちなみに内袋に縫い付けられたタグには日本語も含めた丁寧めな説明文がついていて好感を持てた。

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付属のペグはアルミ(アルミ合金?)製で普通に使えそうな品物だ。青く塗られ、抜くときに便利なコード(ひも)もついている。立てるのには8本必要だったが、予備用を含む(?)9本セットだった。
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さっそく立ててみる。まずは5カ所をペグダウン。けっこうな領域を取る。ポールはありあわせの125cmを用意した。
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先に5か所をペグダウンして領土を確定するのがコツなようだ。そのあとメーンポールを立て、その方向にペグを打って引っ張ることで上棟に至るのだ。この商品には、足元の部分の通風と高さ確保するために、細めの赤いアルミ(アルミ合金?)ポールが1本付属する。通販サイトのレビューに、「何に使うかわからない棒がついてきた」といった記述もあったが、ナイロンテープで作られた筒の中にポールを通し、底部をマジックテープで止めるようになっており、ここを見逃すとは、実際に立てずにレビューしているのでは? と疑ってしまう。

もっともこうした中華系商品は、知らない間に結構仕様が変わっているので、過去にはポールスリーブが分かりにくい作りだった可能性もある。
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ほらこの通り、ピーンと足元が立ちます。わざと足元をめくっているが、通常は雨跳ねをきっちりストップするぐらい本体が覆う。足元の立ち上がり部分には、換気のためのメッシュパネルが設けられている。
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自分の影が入り込んで、写真術としてはNGだが、まあこういったような形で、割ときれいなテント型に張りあがる。とはいえシングルポールなので、ペグが1、2本風で飛ばされたら一気に形を失う心配はある。写真手前の場所まで止めて、ここまででペグ6本。あとは、頭の延長線上と、足の延長線上にあるガイラインを止めるために2本のペグが必要となる。少なくとも、この8カ所のペグは省けない設計だ。

ただこのテントは全体的に、雨の対策がしっかり考えられているようで、その点SixmoonDesignsのルナーソロより上のように思う。ルナーソロは、本体の屋根の下に全周をとりまくメッシュが入っており、その下に少しバスタブ状に立ち上げたフロアパネルが縫い付けてあった。メッシュ部分で常に通気を保ちつつ防水も確保する仕組みだが、屋根の下端は少し地面から浮いており、「強く吹き付ける雨だったら浸水するな」と思ったものだ。以下の写真がそれだが、通気を確保する画期的な構造というか吹き荒ぶ雨を通しちゃうスカートというか、評価の難しいところだ。

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もっとも以前に山のテント場で張ったときは、夜半から朝までの雨に耐えたので、雨がてんで防げないわけではない。ただその際は、テント場にある石をルナーソロの周囲に張り巡らし、いざというときに備えていた。

一方このGeerTopテントは、どの場所も地面すれすれまで本体パネルが達していて、めったなことでは風に翻弄されそうにない。
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張った後の通気性は、メッシュパネルのおかげで確保されている。前室は十二分に広い。靴だけでなく、翌朝すぐに調理に取り掛かりたいバーナーとコッヘルのセット、水やその他の荷物を、雨を防ぎつつ置いておけそうだ。
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足元のメッシュパネル、そして頭の上のメッシュパネルの2か所の通風が確保されているので、酸欠の心配はなく、シングルウォールといえども結露は少なく済みそうだ。二つの開口部を確保するために、ガイラインが通風孔を引っ張る構造になっている。
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ちょっとだけ心配なのが、ファスナー部分だ。わざわざブランドネームを刻印したタブでイケているが、「シャーッ!」とスムーズに開け閉めしづらい時がある。長期的使用はできていないので、例えば山中2,3泊ぐらいで噛みこんだり不具合になるなどしたら、このレビューにも追記したい。
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縫製上の都合か、フロアパネルを縫い目が横切っているのは関心しない。長期の使用で、防水・強度上のウイークポイントになりうるからだ。だが、その底部も含めシームシールはおおむねしっかり。安心感がある。このテントはシングルウォールなので、黒っぽい色のフロアパネルも深緑色の本体パネルも、両方とも防水である必要がある。だからその接合部も当然、シームシールが必要となる。そうした部分のシームシールを確認したが、きちんと施工されている。

akanamekoは過去に、上高地の小梨平のテント場で、雨水がフロア下でタプンタプンとするほどの浸水を経験したことがある。その時、大して高くもなかったアメリカブランドの「Eureka!」のテントで事なきを得た。やはりシームシールがしっかりしているなど、値段だけでなく基本をしっかり作っていることの大切さを知った。
この経験から、山でもキャンプ場でも、フロアを傷めないため必ずグランドシート(フットプリントともいう)とテント内銀マットを使うなど、フロア部を保護することに異常に気を使っているし、四隅まできちんとシームシールしていないテントは避けたいと思っている。

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ちなみに、付属のペグは柔らかな土の地面に一度刺しただけで色が剥げているので、アルマイトでなく塗装なのだろう。まあ品質には関係ないが。

【総評】(主にルナーソロと比べて)

これはまず、荷物を軽く、小さくしたい単車や自転車ツーリングにはもってこいだろう。これに比べたら、ホームセンターやネット通販で1万円以下の、フライシートはミニスカートみたいだわ布地のコーティングも傘並みだわ、それでいて2キロ以上ある「初心者用」テントはゴミだ。ただし、薄手のフロアを庇いつつ適正にペグダウンして綺麗にテントを張る若干のスキルは必要だ。

また、暴風雨に遭わなければ山でも使用可能と思われる。

ルナーソロはだいたい4万円以上するが、こいつは1万円ちょっとですぐ購入できる。一見似たデザインだが、GeerTopの方が雨の多い日本の気候に向いているようにさえ思う。

ただし、どちらも一般的な1人用の自立式ドームテント(本体の底面が長さ2m強、奥行き1m弱ていどのもの)に比べると、占有する面積が非常に多い。

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この写真は槍ヶ岳でのルナーソロだが、こうした狭隘な場所では、どうしても十分なスペースを確保できず、カッコよく張れない=雨や風に十分対抗できない可能性がある。写真の場合、テント正面のフライシートと地面が空きすぎている感じなのと、背面に余地がなく、寸詰まりになっている。単独行なので、寝るには十分な広さが確保できているが。左下に見えるシングルウォールのドームテント(ヘリテイジのクロスオーバー? )が、狭い場所でもすっぱり入り込むように、一定のテンションで張れているのとは対照的だ。

その後、夏も終わりかけた時期に、本テントを3000mの稜線上のテント地で張ってみた。結論からいうと、ルナーソロよりはフットプリントが小さく、防水性にも問題なさそうだった。もちろん、シングルウォールなので結露はする。が、まあ足元と頭の上に通風孔がついていて常にオープンなので、内部がべちゃべちゃになるほどではない。風にあおられたウォールに服が触れると濡れてしまうが。またやはり、ジッパーの耐久性に不安が残る開閉フィーリングだった。

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また平面的な形なので、ドーム型に比べ風でバタバタする。とはいえ結論的には、「山でも使えなくはない」という感じだった。ペグダウンできないときれいに張れないので、テント場が平らな地面であるという確証がある場所なら問題なさそうだ。

場所が取れそうではない場所、あと天気予報上強い雨風が避けられないような場合には、素直に先日akanameko が買ったプロモンテのVL-17のような、コンベンショナルな自立式ドーム型山岳用テントを持っていくのがよいだろう。

 全体としては、「1万円ちょいでこの出来栄えはすごいっしょ!」ということになる。ヘビーな状況以外のスリーシーズン用全般(バイクツーリング、ソロキャンプ、ULバックパッキング)にお勧めできる。

ただしこのメーカー、品番とか商品名とかがよくわからないので、油断して違う商品を購入しないよう注意が必要だ。通販サイト上では、見た目が一緒のように見えてもダブルウォールで1.2kgぐらいあるものとか、微妙にいろいろな種類が売られているのだ。本商品はもしかしたら「GeerTop pyramid II」という名前なんじゃないかな、とも思うが、違うかもしれない。また商品に「右開き」「左開き」の区別があるような感じで、紹介したものは右開きなんだと思うが、その辺も自信がない。

せっかくしっかりした製品を作っているのだから、もう少しわかりやすくしてもらえたらと思う。それを除けば、なかなかの逸品だと思う。