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【レビュー】格安ULテント GeerTopのpyramid II(1万円)はルナーソロの有力対抗馬!?

このところ、SixMoon Dsignsの一連のテントを使ってきた。ルナーソロは北アルプスの3000m級のテント場でも2シーズンにわたり活躍したし、スカイスケープ トレッカーは初期不良を直しながらキャンプに使った。

それはそれとして、超軽量テントとして今シーズン、急浮上してきたのが、このGeerTopのテントだ。900gとルナーソロより一回り重いものの、ペグが添付していたり、通気口が前後に貫通していたり、かなり工夫された跡がある。「まあ1万円余りなら、人柱でもいいか」といった軽い気持ちで注文すると、すぐに届いた。パッキング用の袋は余裕があって好ましい。ペグもポールも同じ袋に入りそうだ。

このセットに加わるのはアルミなら100gちょい、カーボンなら60g程度のポールだけなので、ペグを入れても1キロちょいでテントを携行できることになる。ちなみに内袋に縫い付けられたタグには日本語も含めた丁寧めな説明文がついていて好感を持てた。

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付属のペグはアルミ(アルミ合金?)製で普通に使えそうな品物だ。青く塗られ、抜くときに便利なコード(ひも)もついている。立てるのには8本必要だったが、予備用を含む(?)9本セットだった。
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さっそく立ててみる。まずは5カ所をペグダウン。けっこうな領域を取る。ポールはありあわせの125cmを用意した。
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先に5か所をペグダウンして領土を確定するのがコツなようだ。そのあとメーンポールを立て、その方向にペグを打って引っ張ることで上棟に至るのだ。この商品には、足元の部分の通風と高さ確保するために、細めの赤いアルミ(アルミ合金?)ポールが1本付属する。通販サイトのレビューに、「何に使うかわからない棒がついてきた」といった記述もあったが、ナイロンテープで作られた筒の中にポールを通し、底部をマジックテープで止めるようになっており、ここを見逃すとは、実際に立てずにレビューしているのでは? と疑ってしまう。

もっともこうした中華系商品は、知らない間に結構仕様が変わっているので、過去にはポールスリーブが分かりにくい作りだった可能性もある。
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ほらこの通り、ピーンと足元が立ちます。わざと足元をめくっているが、通常は雨跳ねをきっちりストップするぐらい本体が覆う。足元の立ち上がり部分には、換気のためのメッシュパネルが設けられている。
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自分の影が入り込んで、写真術としてはNGだが、まあこういったような形で、割ときれいなテント型に張りあがる。とはいえシングルポールなので、ペグが1、2本風で飛ばされたら一気に形を失う心配はある。写真手前の場所まで止めて、ここまででペグ6本。あとは、頭の延長線上と、足の延長線上にあるガイラインを止めるために2本のペグが必要となる。少なくとも、この8カ所のペグは省けない設計だ。

ただこのテントは全体的に、雨の対策がしっかり考えられているようで、その点SixmoonDesignsのルナーソロより上のように思う。ルナーソロは、本体の屋根の下に全周をとりまくメッシュが入っており、その下に少しバスタブ状に立ち上げたフロアパネルが縫い付けてあった。メッシュ部分で常に通気を保ちつつ防水も確保する仕組みだが、屋根の下端は少し地面から浮いており、「強く吹き付ける雨だったら浸水するな」と思ったものだ。以下の写真がそれだが、通気を確保する画期的な構造というか吹き荒ぶ雨を通しちゃうスカートというか、評価の難しいところだ。

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もっとも以前に山のテント場で張ったときは、夜半から朝までの雨に耐えたので、雨がてんで防げないわけではない。ただその際は、テント場にある石をルナーソロの周囲に張り巡らし、いざというときに備えていた。

一方このGeerTopテントは、どの場所も地面すれすれまで本体パネルが達していて、めったなことでは風に翻弄されそうにない。
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張った後の通気性は、メッシュパネルのおかげで確保されている。前室は十二分に広い。靴だけでなく、翌朝すぐに調理に取り掛かりたいバーナーとコッヘルのセット、水やその他の荷物を、雨を防ぎつつ置いておけそうだ。
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足元のメッシュパネル、そして頭の上のメッシュパネルの2か所の通風が確保されているので、酸欠の心配はなく、シングルウォールといえども結露は少なく済みそうだ。二つの開口部を確保するために、ガイラインが通風孔を引っ張る構造になっている。
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ちょっとだけ心配なのが、ファスナー部分だ。わざわざブランドネームを刻印したタブでイケているが、「シャーッ!」とスムーズに開け閉めしづらい時がある。長期的使用はできていないので、例えば山中2,3泊ぐらいで噛みこんだり不具合になるなどしたら、このレビューにも追記したい。
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縫製上の都合か、フロアパネルを縫い目が横切っているのは関心しない。長期の使用で、防水・強度上のウイークポイントになりうるからだ。だが、その底部も含めシームシールはおおむねしっかり。安心感がある。このテントはシングルウォールなので、黒っぽい色のフロアパネルも深緑色の本体パネルも、両方とも防水である必要がある。だからその接合部も当然、シームシールが必要となる。そうした部分のシームシールを確認したが、きちんと施工されている。

akanamekoは過去に、上高地の小梨平のテント場で、雨水がフロア下でタプンタプンとするほどの浸水を経験したことがある。その時、大して高くもなかったアメリカブランドの「Eureka!」のテントで事なきを得た。やはりシームシールがしっかりしているなど、値段だけでなく基本をしっかり作っていることの大切さを知った。
この経験から、山でもキャンプ場でも、フロアを傷めないため必ずグランドシート(フットプリントともいう)とテント内銀マットを使うなど、フロア部を保護することに異常に気を使っているし、四隅まできちんとシームシールしていないテントは避けたいと思っている。

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ちなみに、付属のペグは柔らかな土の地面に一度刺しただけで色が剥げているので、アルマイトでなく塗装なのだろう。まあ品質には関係ないが。

【総評】(主にルナーソロと比べて)

これはまず、荷物を軽く、小さくしたい単車や自転車ツーリングにはもってこいだろう。これに比べたら、ホームセンターやネット通販で1万円以下の、フライシートはミニスカートみたいだわ布地のコーティングも傘並みだわ、それでいて2キロ以上ある「初心者用」テントはゴミだ。ただし、薄手のフロアを庇いつつ適正にペグダウンして綺麗にテントを張る若干のスキルは必要だ。

また、暴風雨に遭わなければ山でも使用可能と思われる。

ルナーソロはだいたい4万円以上するが、こいつは1万円ちょっとですぐ購入できる。一見似たデザインだが、GeerTopの方が雨の多い日本の気候に向いているようにさえ思う。

ただし、どちらも一般的な1人用の自立式ドームテント(本体の底面が長さ2m強、奥行き1m弱ていどのもの)に比べると、占有する面積が非常に多い。

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この写真は槍ヶ岳でのルナーソロだが、こうした狭隘な場所では、どうしても十分なスペースを確保できず、カッコよく張れない=雨や風に十分対抗できない可能性がある。写真の場合、テント正面のフライシートと地面が空きすぎている感じなのと、背面に余地がなく、寸詰まりになっている。単独行なので、寝るには十分な広さが確保できているが。左下に見えるシングルウォールのドームテント(ヘリテイジのクロスオーバー? )が、狭い場所でもすっぱり入り込むように、一定のテンションで張れているのとは対照的だ。

その後、夏も終わりかけた時期に、本テントを3000mの稜線上のテント地で張ってみた。結論からいうと、ルナーソロよりはフットプリントが小さく、防水性にも問題なさそうだった。もちろん、シングルウォールなので結露はする。が、まあ足元と頭の上に通風孔がついていて常にオープンなので、内部がべちゃべちゃになるほどではない。風にあおられたウォールに服が触れると濡れてしまうが。またやはり、ジッパーの耐久性に不安が残る開閉フィーリングだった。

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また平面的な形なので、ドーム型に比べ風でバタバタする。とはいえ結論的には、「山でも使えなくはない」という感じだった。ペグダウンできないときれいに張れないので、テント場が平らな地面であるという確証がある場所なら問題なさそうだ。

場所が取れそうではない場所、あと天気予報上強い雨風が避けられないような場合には、素直に先日akanameko が買ったプロモンテのVL-17のような、コンベンショナルな自立式ドーム型山岳用テントを持っていくのがよいだろう。

 全体としては、「1万円ちょいでこの出来栄えはすごいっしょ!」ということになる。ヘビーな状況以外のスリーシーズン用全般(バイクツーリング、ソロキャンプ、ULバックパッキング)にお勧めできる。

ただしこのメーカー、品番とか商品名とかがよくわからないので、油断して違う商品を購入しないよう注意が必要だ。通販サイト上では、見た目が一緒のように見えてもダブルウォールで1.2kgぐらいあるものとか、微妙にいろいろな種類が売られているのだ。本商品はもしかしたら「GeerTop pyramid II」という名前なんじゃないかな、とも思うが、違うかもしれない。また商品に「右開き」「左開き」の区別があるような感じで、紹介したものは右開きなんだと思うが、その辺も自信がない。

せっかくしっかりした製品を作っているのだから、もう少しわかりやすくしてもらえたらと思う。それを除けば、なかなかの逸品だと思う。

 

【レビュー】プロモンテVL-17のディテールに感動した話(生地も縫製も国産とな)

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この夏の山行用に、新たにプロモンテのVL-17を購入した。ダンロップ系の軽量ラインのテントだ。「ダンロップ」を語ると、タイヤだテニスだテントだと系譜が複雑すぎるが、「プロモンテは、昔からダンロップテントを販売してきた会社を継承するHCSという会社のブランドです」という答えは、まあ間違っていないだろう。

さて本商品は1人用で底面205cmx90cmと、文字通り本当に1人サイズだ。その分、本体1190g、全てコミでも1340gと、自立式でダブルウォールのテントでは相当の軽量級である。モンベルのステラリッジと互角なので迷ったが、アマノジャクなのでこちらを選んだ(最先端米国テントとカミナドームは予算的に無理だった)。

実際、日本中の山という山はステラリッジだらけである。各地のテント場では自分のテントに帰れない難民が続出。モンベルは急遽、他人のテントと区別をつけるためにフライシートのカラーバリエーションを増強したほどだ(作り話です)。

テントの軽量化は難しいテーマだ。「とにかく軽く!」と望めば、ヘリテイジのHI-REVOなんかもある。そいつは重さ960g。ペグを入れても1キロとほんの少し、というULぶりだ。ただし、通気孔のメッシュがが固定式で、まるでツギアテのようになっていたり、ポールが直径わずか7.5mmだったりして、「極めすぎ」というきらいがあり、少し怖く感じて見送った。

重量で言えば、今やカネも技術も潤沢な米国のULテントには、もっと過激なものもある。だが、おおむねインナーテントがフルメッシュで、フライシートが横殴りの雨を想定していないなど、弱点はある。本格的な自然が山岳地帯にしか残っておらず、時に稜線で暴風雨に遭う日本とは、前提条件が違うのだ。ただしニーモが日本仕様をうたうモデル「タニ」を出しているのは素晴らしい(インポーターのイワタニ・プリムスが素晴らしいわけだが)。そのタニ1Pも、日本仕様にすることで1060gに達する。そうなるとスペック的にVL-17やステラリッジに近づいてくるわけだ。

さて、VL-17のレビューであった。山に行く時期はまだなので、試し張りしてみたところ、数々のディテールに驚かされた。このテントは、スリーブ式と吊り下げ式の折衷なのだが、畳んだ状態では交差部分の樹脂が中央をまとめていて、ポールが2本に分かれずに済む。収納時に一直線だったポールの中央部にある樹脂部品が要(カナメ)になって、X字型に開くのだ。

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その開いたポールのエンドを四隅のスリーブに収め、天頂部の金具に本体を吊るし、あとはフックでパチパチ留めるだけだ。もし写真で透明に写る樹脂部品が完全に壊れるなど最悪の事態を想定したとしても、ポールのクロス部分とテント本体の天頂部の布テープを紐で結べば支障なく使えるだろう。

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それにしても、VL-17の吊り下げフック部のこだわりはどうだ。単にパネルとパネルの間の縫い目に吊り下げフックのベルトを縫い込むのではなく、布テープで縁取りしたメッシュをパネルの縫い目と一緒に縫製している。フックを引っ張る力はフックのベルトだけでなく、布テープ、メッシュを経由して縫い目全体に分散されるという、かなり複雑な構造を採用している。その辺、ステラリッジはずっと簡素な作りだ。フックを半回転してかけるようになっているのも渋い。HCSは何十年もテントを修理してきた経験から、軽量化と強度のバランスを追求していると標榜している。単なる軽量化に走らないところに凄みがある。

なお、吊り下げ式のフックだが、ニーモのタニも、モンベルのステラリッジも、一辺あたり4か所である。このVL-17も4か所だが、地面に近い部分はスリーブ状になっておりアドバンテージがある。また、4つのフックの配置も、等間隔ではなく、天頂に近づくほど間隔を狭めていて、芸が細かいと思う。

一方、ほかの現行モデルテントでは、アライのエアライズやヘリテイジのエスパースなどがスリーブ勢だが、やはり立てやすさではフック式の方に分があると思うがどうだろう。

素材もよく吟味されている。

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メーカーは「強度的にはリップストップ生地の方がイイんだけど、フロアに使うと網目状のところのウレタンコートが剥がれそうなのがイヤで使って来なかった。だけど、最近網目状の部分の糸が十分細い生地が出てきたので、使うことにしたよ」(意訳)と説明している。写真はフロア部のポリエステルリップストップ生地(30D)だが、なるほど緻密な感じの布地だ。

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一方本体パネルは十分すぎるほど薄い(わずか10D)が、メッシュではなく強度に優れるナイロン生地だ。メッシュにしないのは日本の夏山では夜スースーして寒いという苦情につながるからだ(akanameko的には米国ブランドのフルメッシュのテントも夏山で積極的に使ってきたが、寒さは寝具で対応するか我慢した)。フライやフロアは吸水性がほとんどなく撤収や携行が軽くて楽なポリエステルを使っており、素材を使い分けている。本体パネルに一定の吸水性を持つナイロンを使うことで、結露も低減できそうだ。

カタログ写真を見て「謎の造形」と思っていた三角形はメッシュの換気口だった。

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入り口の反対側には、しっかりした大きさのベンチレーターが装備されている。虫が入らないよう当然メッシュの内筒も備えている。対角線上に通気口を設けることで換気を図る設計だ。

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メッシュパネルでないテントは、常に酸欠のリスクがある。特に寒い時、ユーザーはなんとか隙間風を避けようとする。HI-REVOのパネルがメッシュのハメ殺しで塞げないようになっているのも、ユーザーをみすみす酸欠で死なせるわけにはいかないというメーカーの誠意だ(PL法対策ともいう)。

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フライシート全部に変な出っ張りがあるのも、換気のためだ。

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驚きのディテールはDAC製9.3mmポールにもあった。ポールのつなぎ目の、細い方の端に、水色のリングが装着されているのだ。ショックコードが端面との摩擦で切れないようにする工夫としか考えられない。ショックコードが切れると、設営が面倒なだけでなく、強風で揺さぶられるなど、ふとしたはずみでつなぎ目が外れ、テントが潰れないとも限らない。先程HCSは長年の経験から商品改良を続けていると書いた。ダンロップの吊り下げ式テントは半世紀前から作り続けられているわけで、ユーザーからのクレームは無数に寄せられ、それを分析しているのだろう。

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シームシーリングも立派。縫い目が集まって力がかかる四隅まで、シームテープを適切に溶着できている。まあこの辺りの加工は最近、中国製でもちゃんとしているが。張り綱にケブラーより強度があるとされる帝人のテクノーラを使っているのも心意気を感じる。「生地も縫製も国産」と標榜しているのは伊達ではない。

そのようなわけで、日本製でこの値段のテントに、驚きのディテールが満載されているのに感心した。買ってよかったと思った。

 

では、なぜモンベルと重さも値段も同等で機能的に勝るとも劣らないダンロ、いやプロモンテが山のテント場を席巻しないのだろうか?

 

これはもう販路とか代理店網とか、素人には知れない非常に難しい問題があるのだろうが、単にユーザー目線で見ると、同社の製品は、最軽量とか新素材とか、イマイチ「飛び道具」を欠くため、下手すれば昔のままのイメージで見られているのかもしれない。私のようなオッサンはつい、「ダンロップのテントは丈夫かもしれないが、旧式で、雪山とかに行く屈強な人だけのもの」と考えていた。あの青と橙のコンビのやつを思い出すのだ。まあそのために、わざわざプロモンテブランドを分岐させたのかもしれないけど。

余談だがプロモンテのインフレータブルスリーピングマットは、1.5倍以上の値段の米国ブランドに匹敵する軽さを備えているが、店頭で激しくアピールしている感じではない。ブランド力? イメージ? とは、なかなか難しいものだ。

あと、この商品について言えば、本体青、フライシート水色という、昔の雨具みたいな色はネット映えしない。実物はそんなにやぼったくないのだが。あと、パリッと張れているように見えないカタログ写真はどうなんだろうか。

それはともかく、akanamekoは実際に買った。そして実物の出来の良さに感動した。あとは山で実使用するだけだ。またレポートしたい。

 

 

 

 

シックスムーンデザインズのスカイスケープトレッカーと劣化ウレタンの話

f:id:akanameko:20210612084049j:imageSixmoon designsというアメリカのメーカーがある。昨シーズンまで、ここの「ルナーソロ」というテントを使っていた。ワンポールでシングルウォールのUL系テントだ。どちらかと言うとトレッキング用テントなので、悪天候も多い日本の山岳にはベストフィットでは無さそうだが、何しろ軽いので、山的には正義だ。標高3000m超えの、槍ヶ岳山荘横のキャンプ地でも張った。写真は双六山荘横のキャンプ地だ。シングルウォールなので結露はあるが、シュラフカバーと併用すれば心配ない。

今シーズンからは、同じシックスムーンデザインズの、一部メッシュのダブルウォールで、両サイドに出入り口がある「スカイスケープ トレッカー」というモデルに替えた。ポールも2本使い、より居住性が良くなって、それでも十分軽く、いいことづくめで「ホントかいな?」という気までするぐらいの商品だ。ULスペック的にはルナーソロだが、使い勝手ではスカイスケープじゃないかと思い、米国から取り寄せたのだ。

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下からチョロっと覗いているのは自前のグランドシートなので無関係だが、スッキリして良い感じだ。1泊してみたが、テントの頂点が一点に集まっていない(台形になっている)ので、圧迫感が少なく、蚊帳のように換気が良い。また山に持っていきたい感じだ。

ところがコイツ、上面パネル5面のうち一面がベタベタと加水分解していやがったのだ。開梱時すでにベタつきがあり、驚いた。この製品はシルナイロン製である。シルナイロンといっても、表面シリコーン加工、裏面ポリウレタン加工のようだ。表面サラサラ、裏面しっとりとなっているからだ。多分シリコーン加工だけだとメラメラ燃えてしまうため、危険性(法規制)に対処したと思われる。なお底面はシリコンコートだけのようだ。

で、べたついていたのはそのポリウレタン加工だ。この製品はアメリカメーカーであるSixmoon designsが中国の工場に作らせたものだ(中国製と明記してある)。工場の中国→購入したショップがある米国→本邦と、パッキングしたままで長旅を続けるうち、どこかで劣化したことも考えられるが、私は「中国の工場が生産工程上のミスを知らん顔して出荷し、米国ではろくに検品されていない」に一票!を投じたい。なぜなら、劣化していたコーティングは、5面あるパネルのうち一枚だけだったからだ。コーティング不良又は不良在庫の布地をカッティングして平気で混ぜ込んじゃうような縫製工場で生産されたんだろう。Sixmoon designsはいわばガレージメーカー上がりの新興企業だから、そういう生産管理であっても不思議ではない。以上は推測に過ぎないが、新品でこんなんじゃダメなことには変わりない。

返品すればいいという考えもあるが、何しろ米国渡来なので面倒なのだ。そこで、劣化したポリウレタンを除去するという地獄のような作業が生じた。

巷には加水分解して劣化したポリウレタンの除去について重曹を使うとか色々語られているが、除去したいのはパネル1面分だけ。ほかのパネルは健在なのだ。色々な溶剤で試したが、結局、ラッカーうすめ液と古タオルで除去する方法が除去力が強かった。タオル1枚ダメにした。

で、後釜に何を塗るかだが、

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いずれも完全な失敗だった。高級ワックスはポリウレタン+アクリル、チューブ塗料はポリウレタンで、いずれも水性に仕上げてあるが、乾燥後には硬化して被膜となる。このテントのようにシリコン加工済みの布地だと、布地に染み込まないためだろう。ペリペリと薄膜になって剥がれるのだ。塗りたてでは染み込んで定着しているようにも見えるが、結局はダメである。完全乾燥後、布地を揉むと、樹脂成分が、あたかもフケや垢のように細片となって散りまくるのだ。

たぶん、軍用コットン幕等の、染み込みがよく厚手のな布地なら両方ともOKなのかもしれない(使用例がネット上で見られる)が、とりあえずの結論。

「シルナイロンにDIYでのウレタン加工は無理!」

である。4,000円以上の出費が垢と散ったわけだ。これを除去するには、布を揉み込んでペリペリにしたところにガムテープを当ててベリっと剥がすという、原始的な方法を取らざるを得なかった。

そのあと登場というか考えついたのが、シリコーンの再コートだ。世の中では「POLON-T」というシリコーンを溶剤に溶け込ませたコーティング材が密かに使われているが、「それだったら、テントのシームシールに使ったシームグリップ+SIL シリコンシーラントでもいいんじゃね?」と考えた。コーキング用のシリコンシーラントを薄めて塗る方法も広がっているが、難点は安いシーラントが半透明で見栄えがいまいちなことだ。半透明のシーラントなら400円ぐらい。日本中のホームセンターで買える。ただ透明度の高いハイクリア商品は平気で3000円とかの値段がする。その点、このシームグリップは縫い目をシールして余ったものである。乾燥後はきれいな透明であり、そもそもシルナイロンとの相性はお墨付きだ。そんなわけで、祈るような気持ちでシームグリップに賭けてみる。

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材料はシームシールして余ったシームグリップと、ホワイトガソリン。3分の1ぐらい残っていたチューブを、青くないホワイトガソリンで良く混ぜると完全に溶けた。写真は半分ほどを消費して残った塗り終りの液なので、仮にシームグリップまる1本と数百mlのガソリンがあれば、ジャムのビン三つ分ほどの液ができ、テント一張りの薄塗りが可能な気がする。

f:id:akanameko:20210612092737j:image糊などよりずっと薄いが、たぶんPOLON-Tよりだいぶ濃厚な液性になった。まあサラダ油ぐらいか。それをペタペタ。快調に塗れる。世に出回るレポートによればPOLON-Tは「染み込んで乾いてしまえば艶消しになる」ようだが、今回の出来上がりは、その艶消し状態よりは高濃度であるのは間違いないが、一面に透明の膜が張るほどではない。あまり幕が厚くなると、結局はがれる予感がする。

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何が正解か分からないのが辛いところだが、失敗するとテントが使い物にならなくなるだけにマジである。塗り終わって乾くと、内部には完全に染み込み、残余が一部、透明な膜になって表面(使用時は裏面だが)に張っている状況だ。6時間乾かし、収納したが、張り付きは問題ない程度だ。さて雨の日にどうなりますか。

【レビュー】ジェントスのEX-334Dがソロキャンプ用ランタンとして最強っぽい話

これは掛け値なしに「買ってよかった」と思う。なんの権威もないが、akanameko的にはお勧め度★★★★(四つ星)以上の傑作である。Gentosの単3電池4本仕様のLEDランタン、EX-334Dの話である。

f:id:akanameko:20210330125825j:image画像はAmazonより

現在でも、ソロキャンプにガスランタンを持っていくなら、ベストなのはイワタニプリムスのIP-2245Aであると思う。

f:id:akanameko:20210330130115j:image画像はアマゾンより

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akanameko が所有しているのは古いタイプだが、基本構造は現行型と同じ。まあ光色といい音といい、そのコンパクトさといい、ガスランタンの中では鉄板中の鉄板だ。置いてよし、付属のチェーン(現行型はワイヤー)で吊るしてよし、の万能ランタンだ。

ファミリーキャンプなら、メーンにガソリンなどの大光量ランタンを据え、2245ランタンはテーブルをやさしく照らすのに使うのが一般的だが、ソロキャンプなら、まずこれ一つを持っていき、あとはヘッドランプなりハンドトーチを使えばよい。

だが残念なことに、ガスランタンはマントルの破損を心配する必要がある。実際には、前回使った状態でバイクに積んでいき、そのまま一晩使ったあと家に帰って点検しても、まあ無事だという程度にはマントルというものは丈夫なものだ。また、ガスカートリッジは持ち運ばなければならない。カートリッジ自体はバーナーと共有できるが、排他使用となるため、灯りの下で煮炊きする場合はカートリッジを2個以上持っていくことになる。

そこで、荷物を最小限にしたいときのため、コンパクト化を主眼に導入したのが、このジェントスのEX-334Dランタンだ。

f:id:akanameko:20210404220351j:image見よこの小ささを! 見栄を張って普段滅多に飲まないYEBISUを置いてみた。単3電池4本仕様だと、まあこのぐらいが最小限のサイズだろう。それでいて防水型だ。

そして明るさは440ルーメンだという。少し前なら電池式としてはメーンを張るぐらいの光量だ。akanameko としてはジェントスの数値におおむね嘘はないと思っている。ジェントスは長年、国内の色々なルートで販売を続けており、いろいろ調べても、ルーメン数に関する批判的なレビューは見受けられない。

ルーメン数は全光束とも表現される。仮想の球体の中心に光源を置き、全方向で計測される明るさをすべて足したもの、と理解している。真のルーメン数を計測するには、本来メーカーが自前で計測器を備えるか、設備をもつ業者に計測を依頼せねばならない。ジェントス製品の取り扱い説明書には、ルーメン数のほかカンデラ数も詳細に書いてある。すべての数値はANSI FL1規格による表示だとも。

通販サイトでは、LEDから設計上発せられる光束などから、適当に、そして競合商品より多く表示された中華商品が見受けられる。「安かろう、悪かろう」を地で行く商品が多いのだ。

ジェントスは通販でも、ホームセンターでも、一定のファンを持ち良質な商品を出していると思う。ただ見ていて大変だなと思うのは、販路が広いので、せっかく年次で新製品を出しても、なかなか店頭に行きわたらないことだ。LEDの性能アップに従い新製品を出すと、自社の旧製品が陳腐化するが、全国一斉に新製品と入れ替えるのも難しいのだろう。今回、EX-334Dの発売を知り、いくつかの店頭を見たが、旧タイプのものばかりで、結局、通販で買うこととなった。アウトドアブームらしいが、多くの人はもはやアウトドアショップどころかホームセンターにさえ行かず、ネット上で値段のみを決め手に商品を選ぶから、ジェントスのような業態も大変だろう。

話が脱線した。さてEX-334Dの点灯だ。

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本当に明るい。ガスランタンに比べれば青白いが、温白色を実現している。

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あくまで参考だが、QUAPIX LITEという照度測定アプリでは、50センチの距離で200ルクスと出た。

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比較のため測定したこれは、自称500ルーメンだが、

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同条件で80ルクスと出た。ジェントスの圧勝というより、中華灯器のルーメン表示がアテにならない一例だ。

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ちなみにEX-334Dは説明書の片隅に「440ルーメンはカバーをかけると2割ほど減ずる」と書いてある。カバーとは本体上部全体の外殻を指しており、外すLED素子の光を拡散させるウズラの卵の半分ほどの大きさの樹脂製ドームが出てくる。天吊り状態で照らすためにカバーを外して使う人もいるかもしれないが、ちょっと表示的にはいただけない。が、これだけ明るければ文句はない。

f:id:akanameko:20210405080535j:image明るさではEX-334D>中華リチウムイオン電池内蔵ランタン>>2245ランタン、という感じだ。電池も最大光度で8時間持つと書いてあり、これは最初の10%の明るさになるまでの時間だという。光量を調節しながら使えば少なくとも一晩か二晩は楽しめそうだ。

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実際にキャンプで使ってみた。奥がコールマンのワンマントルガソリンランタン、右手に見えるのは2245ランタン、そして手前がEX-334Dである。絶対的な明るさはガソリンランタンには敵わないが、安定性は勝り、就寝時刻まで無事、照らしてくれた。

そんなわけで、これは買ってよかった、と思う。通販サイトでジェントスのランタンを比較すると、同一デザインのため写真上同じようなランタンに見えて単1電池仕様のものがあったりするのでそこだけは注意されたい。

 

【レビュー】ソロキャンプ用の包丁に世界のシマノ(シース小出刃)が最適そうな話

最初に言うけれども、車だったら何の憂いもない。

いっとき車で行くファミリーキャンプに取り憑かれていたが、その場合、その気になれば出刃、刺身、牛刀、ペティなどをセットで持っていくことも容易だ。今回は、「バイク(または自転車)でコンパクトなソロキャンプをする場合、1本かせいぜい2本ぐらいのナイフまたは包丁に何を選ぼうか」という話だ。

すぐに思い浮かぶのが、スウェーデン製のモーラナイフだ。中でも刃渡り10センチ強のコンパニオン、または刃渡りは少し短いが刃体の幅が広いロバストか、となる。鋼材はステンレス鋼一択だろう。どんなに気を遣っても、バッグの中でずぶ濡れのテントなんかと一緒にされれば、鋼(炭素鋼)はひとたまりもない。幸い、両方のシリーズにステンレス製のものはある。しかも値段が安い。

が、あまのじゃくのakanamekoとしてはちょっとひねりたくなる。

ところで、包丁が欲しくなったきっかけは淡路島ソロキャンツーだ。一人飲みディナーに登場するのは、淡路島だとやはり魚介類。その時は買い出しが遅かったこともあり、アテはスーパーに売れ残っていた茹でダコだの丸干しイワシだの、ありきたりのものだった。その程度であれば、秘蔵の「かじや小町」でもタコの足を切り離す程度はできた。「かじや小町」とは、京の錦市場に店を構える「有次」のミニ包丁である。ステンレス製で、革ケースが付いているペティナイフだ。

f:id:akanameko:20210326203904j:imageこの包丁は名作だと思う。だが、所詮刃渡り5センチだ。もし道の駅なんかにこの包丁では役不足な素敵な海産物が売っていたらどうだろう。そう考えると、「なんとかせねば」という気になってくる。

で、見つけ出したのが自転車パーツのトップメーカー、シマノのシース小出刃だ。シマノは自転車にとどまらず、釣具でも有力メーカーだ。釣り師のニーズに応えられる商品群をラインアップしている。

f:id:akanameko:20210326210800j:image価格も3000円以下だ。

f:id:akanameko:20210326211650j:imageリアルに並べると、この違い。笑ってしまうぐらいの差だ。

f:id:akanameko:20210326211748j:imageただし、出刃カテゴリーで比べると、出刃包丁のほぼ最小サイズであるアジ切り包丁と比較してもこんなものだ。小さい。それでも、シース小出刃の刃の厚みは3ミリ。これは、いざというとき、小魚をさばく小出刃として使えるだけでなく、ただの包丁としてクッキングに使えるのではないか? だいいち、このシース小出刃は、両刃である。

f:id:akanameko:20210326212251j:imageところで、写真は、これまでキャンプに持って行った実績がある包丁類だ。上から16センチペティ、先ほど説明したアジ切り12センチ、ペティナイフ12.5センチとの比較だ。アジ切り以外はステンレスだ。

柄の長さまで考えると、シース小出刃は携行性ではペティナイフと同格だ。

f:id:akanameko:20210326212549j:imageが、こいつには極めてしっかりした樹脂製シースが付属するアドバンテージがある。この樹脂製シースは、柄についたくぼみに突起が合体し、簡単に外れたりしそうにない。切れ味としてはペティの方が上だと思うが、本品もなかなかだ。ソロキャンプでこいつを何に使うかと妄想すると、

→道の駅でいい魚が安く売っていたのでさばきたい

→あとは、ちょっとしたクッキング

…と言った感じだろう。

f:id:akanameko:20210326212804j:imageテレビ通販でありがちな場面だが、全く問題ない。改めての研ぎなど必要ないようだ。試しに刃先をクローズアップすると、

f:id:akanameko:20210326212903j:imageこういう感じで、しっかり切れそうだ。ただ、比較のため同じくらいの倍率でカッターナイフの刃を確認すると、

f:id:akanameko:20210326213111j:image一見、鋭さに変わりはないように見える。が、よく見てみると、カッターの刃は、刃先の端の端に、もう一皮むけた切れ味エリアがあることが分かる。

とはいえ、これは出刃であり、なんなら小魚の腹を割る必要もある。カッターナイフのレベルまで刃を細くすると問題も出そうだ。

ネット上のレビューで切れ味について云々する人もいるが、それは好きなように研げばいいだけの話。

十分合格と言えそうだ。ただ、だ。

f:id:akanameko:20210326224200j:imageシマノは刃物のまち、大阪府堺市に本社があるから、てっきり堺の刃物工場に外注している日本製かと思っていた。そこだけ少し残念だ。まぁ、シマノの自転車パーツだって大半は中国製なのに、2000数百円の製品で無茶を言ってはいけないのか。納入元の堺の刃物工場が中国に工場を持っている可能性もある。

f:id:akanameko:20210328184258j:image実際に使ってみても、まさに小出刃だ。両刃なので、刃の裏表をあまり気にせずゼイゴもスイスイ。

f:id:akanameko:20210328184402j:imageあっという間に、気の弱いアジだと卒倒する情景に。この程度の作業ならペティナイフでもできるが、もう一回り大きなお魚だとこいつの得意分野だろう。そういうわけで、しばらくは喜んでソロキャンツーのお供に持っていきそうな予感がする。

【レビュー】BUNDOK(バンドック)の焚火台ボックスストーブ、BD-470でキャンツー

f:id:akanameko:20210323172015j:imageBUNDOK(バンドック)というブランドがある。

BUNDOK製品は通販サイトで目にすることが多かったから、勝手に、いわゆる怪しい中華ブランドだと思いこんでいた。が、違った。BUNDOK製品は例えばヨドバシ(ICI石井スポーツともいう)の店頭にも展示がある「ちゃんとした」ブランドだ。

BUNDOKは新潟県の「燕三条」(そういう市があるわけではない)の三条市側にある「株式会社カワセ」さんのブランドなのだ。昨今はキャンプブームのようだから、私の勝手な想像では、BUNDOKブランドの売り上げはうなぎのぼりなんじゃなかろうか。

燕三条にはスノーピークキャプテンスタッグ、ユニフレームなど、有名アウトドアメーカーがいくつもある。といっても、新潟がアウトドアの本場というわけではない。元々食器や鍋窯などの金属加工業が盛んだったところ、多角化でレジャー用の食器や折りたたみ椅子などの金属モノを作り始めたら人気が出て、だんだん大きくなって会社、あるいはその部門が総合アウトドアブランドにのし上がったーーという流れだ。

一方、BUNDOK製品を扱う現在のカワセさんは、野球グローブからタコ焼き鉄板まで、まるで中国百貨店のような取り扱い商品の多さだ。卸先はホームセンターなど。自社ブランドとして出してOKな中国製品を厳選し、あるいはサンプルを元に注文を出して取り扱うという、今日の日本では至る所に見られるメーカー系卸売業者さんのスタイルだ。

話は逸れるがakanameko が仕事で毎日のように通りがかる大阪の○○金属という会社も、昔はガッチャンガッチャンと鍋釜を作っておられたようだが、今は中国産の鍋釜を扱う卸売業態が主のようだ。もっとも、ファブレスでも一流ブランドというところはあるわけだから、結局は、出している品物はどんな品質なのかというのが大事なところだ。人柱覚悟で買ってみた。

f:id:akanameko:20210323225901j:image通販サイトでままある、売主不詳の品物とは全然違って、箱といい完全ローカライズ済みの説明書といい、何ら問題ないパッケージである。これで2000円台なのだから、かなり良好なコスパと言えるだろう。日本の工場でガッチャン、ガッチャン作ったらこの値段では出せないはずだ。

f:id:akanameko:20210323230102j:image素敵なストレージバッグも付いてくる。

素材はステンレス。鋼材までは分からない。一晩使った後の写真でも、このしっかり感だ。パタパタ折りたたんで、バイクにも積んでいける。

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f:id:akanameko:20210323231318j:image使用時の様子である。つまみをひねるとサイドから焚き木をくべることができ、閉めれば煙突効果でかなり立派な炎になる。もちろん天面からくべてもいいわけだが、例えばコーヒー用の湯沸かしとかを天面に載せてもサイドから燃料を投入できるメリットが考えられる。

f:id:akanameko:20210323231558j:image今回のフィールドテストでは、着火が楽な着火剤つき豆炭と、キャンプサイト周辺で拾った折れ枝が燃料。キャンプサイトから近いホームセンターで薪を仕入れようと思ったが、バイクだったのでかさばる薪の束が買えず、間伐材の安割り箸の束を付け木兼追加燃料にしたのは内緒だ。

ロストルを上げ下げできるので、豆炭を付属の焼き網に近い位置まで上げれば、簡単に酒のアテがあぶれる。焚き火モードに戻せば省燃費で焚き火が維持できる。ソロキャンプ用の焚火道具として、円筒形で「二次燃焼が起こる」という触れ込みの道具にも心奪われかけたが、円筒形のモノだと収納はコッヘル程度になってしまうので、平らにパタパタ畳めるこいつは優秀だ。ま、結局のちのち円筒形のものも買ってしまうかもだが。

夕食〜一人飲み〜テントに入って寝るまでのひととき、焚き火をいじりながら過ごすのは、なかなか結構なものだ。

f:id:akanameko:20210323232518j:imageこれが今回の装備である。それぞれの詳細やバイク話はまた別の機会に。翌朝、燃え尽きた薪は文字通り、真っ白な灰になっており、処分せねばならない廃棄物が最小限で済んで気持ちよかった。

「こいつは買ってよかった」と一人ほくそ笑むakanamekoなのであった。